【提言】企業版ふるさと納税の活用について【京都市のふるさと納税】

「企業版ふるさと納税」という制度があることをご存知でしょうか?その名の通り、個人が利用できるふるさと納税の企業版で、企業が本社がある自治体以外の自治体(地方公共団体)が行う地方創生の取組みに寄付をすることで、最大9割の法人税の軽減が受けられるという制度です。地方自治体にとっては、この制度を有効活用しない手はない…のですが、残念ながら京都市では活用できているとは言い難い状況です。現在の課題と、今後に向けての提言を行いました。

 

企業版ふるさと納税の有効活用を!

◆税制改正で、企業にとってはより魅力的な制度に!

提案したいのが,企業版ふるさと納税への積極的な取組みです。
企業版ふるさと納税は、2016年度の税制改正により創設されました。国の認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して企業が寄付を行った場合、今までは最大6割の軽減がありましたが、令和2年度の税制改正で軽減効果が最大9割に引き上がりました。つまり仮に1,000万円寄付すれば,100万円の負担で1,000万円寄付したことになるのです。

◆しかし、現状はうまく活用できていない京都市…

京都市もこの機を逃さず,徹底的に取り組むべきと考えます。本市の今までの企業版ふるさと納税の成果を申し上げますと,寄付額は毎年度100万円と極めて低調です。早期に取り組まれたところは,結果につながることは言うまでもありません。

京都市が取り組むべき2つの課題

本市の課題は次の2点です。
第1は、積極的な取り組みをしていないこと。
第2は、魅力的なプロジェクトがないことです。

◆「京都ならでは」の魅力的なプロジェクト考案を!

京都市の全体的な建付けとして「一つ目は子育て、二つ目は定住、三つ目は経済活性、四つ目は文化、五つ目は地域コミュニティ」というこの五つの柱は良いと思いますが、京都市を選んでもらうなら、まずは四つ目の「文化」に注力することが肝要ではないでしょうか

例えば,京都には文化財の修理や二条城の保全など,日本の宝を守るといった大切な事業があり,そういった事業に寄付を行うことは,企業のイメージアップ,ブランド力の向上にもつながります。また京都が誇るアニメや漫画に関する事業なども興味を持たれる企業が多いでしょう。

本気を出してプロジェクトを考えれば,他都市よりも魅力的なものを十分生み出せるはずです。今後は,企業が提案するための余地を残しつつも,京都が誇る文化を中心とした具体的なプロジェクトを考え,アプローチをしていくべきだと考えます。

企業に対して個別に積極的なアプローチを!

◆北海道夕張市や茨城県境町の成功事例

また,企業版ふるさと納税の成功には,個々の企業に対する積極的なアプローチが重要です。
現在,北海道知事である鈴木直道氏は,夕張市長時代に家具大手のニトリから夕張市に5億円の寄付を受けました。さらに企業版ふるさと納税の寄付額が常に上位の茨城県境町では,町長が自ら全国の経営者の元を訪問することで3億円を超える寄付を集めました。このように個々の企業に対するアプローチが成功の鍵を握っています

◆京都に縁ある方は他府県にも多数!

企業版ふるさと納税の大前提として,企業の本社がある自治体への寄付はできません。ここでも京都の強みをいかすために,全国に多くおられる京都にゆかりのある方々,例えば学生時代を京都で過ごされた経営者などに積極的にアプローチするのも有効ではないでしょうか。
また,他府県に存在する京都府人会や,京都にある大学の同窓会の支部などへアプローチすることも有効な手立てであると考えます。そしてその折にこそ,京都市がシティセールスの拠点としている東京事務所を積極的に活用すべきと考えます。

<令和2年10月1日 代表質問にて提言>