代表質問(いじめ対策への取り組み強化について)

過日の代表質疑では、京都市においてもいじめを解決につなげていく本気の姿勢が必要という観点から、他都市の取組を参考とした『いじめ対応の専門部署』を設けることを検討すべきだと提言いたしました。
以下、詳細な質疑内容となります。
全国の学校で2021年度に認知されたいじめの件数は61万5351件で過去最多となりました。また、いじめによる自殺や不登校などの重大事態は705件となり、過去2番目に多くなりました。コロナ禍を除き、近年は増加傾向が続いています。いじめの認知件数の増加は、積極的な認知が全国的に進められていることにも起因しますが、これだけのいじめが全国で起こっていることもまた事実です。京都市でも積極的な認知が進められ、近年では2000件を超える状況で推移しております。
先般、文部科学省から全国の教育委員会に対し、重大ないじめや犯罪行為に相当するようないじめは速やかに警察と連携して対応するよう求める通知も出されたところであり、いじめへのさらなる対策強化が全国的に強く求められております。
いじめの対応においては一刻も早く何とかしてほしいというお声があります。本市ではスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの取組も進めておられますが、相談や心のケアが基本であり、即時に対応という流れではありません。私もご相談をいただいたことがございますが、児童生徒の方と教師の方とのトラブルについて、対応が長期化し、その間にお子さんが不登校となったという事態も起こっています。子どもたちからのSOSの見逃しや、初動対応の遅れにより問題が長期化・複雑化するケースは全国的に見ても後を絶ちません。
本市では、条例に基づき、いわゆる第三者的な立場である「京都市いじめ問題調査委員会」を設置できますが過去に調査委員会が調査を行った実績はないとのことです。これは重大事態がなかったからとも受け取れますが、設置のハードルの高さがうかがえ、実効性に疑問を感じます。
このような中、大阪の寝屋川市では、独自のいじめ対応の専門部署を市長部局に設置し、いじめ問題の解決に本気で取り組んでおられます。主な取り組みとして、教育的アプローチと行政的アプローチという、2つのアプローチを並走させる手法がとられています。
教育的アプローチというのは、学校や教育委員会による通常のいじめ対応のことです。いじめ対策はどこの自治体も大抵は教育委員会だけで行っています。教職員の方々にとって、いじめの被害者側も加害者側も共に大切な児童生徒なので、いじめが起きると学級運営も踏まえ、主に人間関係の再構築を目指した対応となり、結果として指導の弱さや対応の遅れにつながり解決までに長期間を要することが多くなります。教育的アプローチはもちろん重要ですが、限界もあります。そこで寝屋川市はいじめの即時停止を目的とした専門部署を市長部局に設置されました。このいじめ対応の専門部署による取り組みが行政的アプローチとなります。具体的には、いじめの情報を積極的に収集し、第三者的視点でいじめの状況をチェックするなどの対応を行います。また児童生徒と教職員の問題にも対応します。ただ、行政的アプローチは事態の早期解決に重きを置いているため、人間関係の再構築には課題が残ります。だからこそ、教育的アプローチと並走させることを重要としています。この2つのアプローチが揃って初めていじめをなくすことができると寝屋川市は考えています。専門部署ができたからこそ教育委員会は教育的アプローチに専念でき、教育委員会があるからこそ専門部署は迅速な対応を貫くことができます。寝屋川市では令和元年10月にいじめ対応の専門部署が設置されて以来、令和4年度までに対応したいじめ件数は約800件、すべての事案について1カ月以内にいじめ行為を停止させ、全件でいじめの終結が確認されています。
また、専門部署がいじめ対応の一部を受け持つことによって、教職員の方々の負担軽減にもつながります。いじめの対応には、教職員が児童生徒宅を訪問したり、夜間や休日などに対応するなど大きな負担となっております。その役割を専門部署が引き受けることで教職員の負担軽減にも繋がり、教職員は本来の指導や見守りに専念でき、良い循環が生まれます。
本市においても、いじめを解決につなげていく本気の姿勢が必要です。本市にも、寝屋川市の取組を参考としたいじめ対応の専門部署を設けることを検討すべきではないでしょうか。ご見解をお聞かせ下さい。