代表質問(防災力強化について~主に地震火災への対策について~)

【京都市の防災力強化について〜地震による火災への対策〜】
過日の代表質疑では、京都市の防災力強化という観点から主に地震による火災への対策についても質問いたしました。
政府の地震調査委員会は、南海トラフで今後20年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が発生する確率を60%程度に引き上げました。地震調査委員会は「いつ地震が起きても不思議はない状況なので、備えを進めてほしい」という見解を示されています。
本市でも、今後の地震対策に向け昨年から地震部会が開催されており、約20年ぶりに京都市の地震被害想定の見直しが進められ、昨年12月に中間報告が公表されました。中間報告では、地震による建物被害は耐震化が進み全壊・半壊ともに約 4 割減少しています。これに伴い、死者数は約2割減少し、負傷者数も前回の被害想定と比べ大きく減少しています。しかし、今回の中間報告で注目すべき点は他にあります。それは地震火災による被害です。地震によって起こる火災で焼失する建物の被害想定が前回は11,000棟でしたが、今回の最新の想定では21,000棟と、ほぼ2倍近くの増加となっていることです。この大幅な増加の要因は、地震火災に関する最新の知見が踏まえられたことや、前回は考慮されていなかった電気機器・配線からの出火が加味されたことが主な理由となります。
また、地震による最大の死者数は4100人と想定されていますが、そのうち火災による死者数は最大1700人と想定されており、これは死者数の約4割にあたります。
今回の被害想定を踏まえると、大幅な増加となっている地震火災への対策強化が本市にとって急務の課題と言えます。
京都市には、木造密集市街地が広く分布しており、災害時には延焼が拡大するおそれがあるなど防災面には大きな課題があります。そのため本市では、全国共通指標による密集市街地を21地区、その内6地区が京都市独自の指標である延焼危険性、避難困難性という観点から優先地区として選定されています。この優先地区は、密集市街地の中でも特に延焼の危険度が高く、避難が困難なエリアということになります。
現状では、地震火災が起こった場合、密集市街地、とりわけ優先地区での高齢の方や、障害のある方、いわゆる要配慮者の方々の逃げ遅れが大変懸念されます。しかし、木造密集市街地は京都の魅力の一つであり、他都市と比較した場合、密集市街地における建物や路地などの防災面をただちに強化しにくい側面があります。今後は、建造物などの防災面の強化を推進しつつも、直ちにできる対策として、地震火災による被害の増加や危険性などの情報の周知徹底に努め、さらに地震火災を想定した特に要配慮者の方対象の避難訓練の実施や、個別避難計画の早期の作成などソフト面の強化を充実させていくべきと考えます。
また、阪神淡路大震災や東日本大震災における火災発生状況を分析した結果を見てみると、地震による火災の過半数は電気関係が原因という事実があります。阪神淡路大震災では、出火原因の61%、東日本大震災でも64%が電気関係によるものでした。
今後は電気関係による火災への対策を強化していくことも肝要です。震災時の電気火災のひとつに、通電火災というものがあります。大規模な震災時には広範囲かつ長時間に及ぶ停電が発生し、停電復旧後に出火が起こります。これを通電火災と言います。通電火災を防ぐためには、避難時にブレーカーを遮断することや、停電中に電気機器の電源プラグをコンセントから抜くこと等が効果的ですが、災害時にとっさにそのような行動がとれるとは限りません。そうした事態を防ぐのに役立つのが感震ブレーカーです。これは一定以上の大きな揺れを感じると、電気を自動的に遮断する装置です。感震ブレーカーの設置は、不在時やブレーカーを遮断してから避難する余裕がない場合に出火を防止する有効な手段です。内閣府は、感震ブレーカーの普及により想定されている火災の被害を半分近くまで抑えることができるとのデータも示されています。
内閣府などによる「大規模地震時の電気火災の発生抑制に関する検討会」から、報告書が公表されていますが、その中では令和6年度までに著しく危険な密集市街地及び延焼のおそれのある密集市街地において、感震ブレーカーの普及率25%を目標とされています。本市では、感震ブレーカー等も含め防火に関する推進啓発活動はされていますが、耐震改修と比較して、防火改修に関しては重要性やその効果等について認識が十分に浸透しておらず遅々として進んでいないということが課題として挙げられています。本市では、密集市街地における感震ブレーカーの設置数や普及率を把握されていないとのことですが、まずは設置数の把握など実態調査が必要だと考えます。その上で地震火災による被害想定の軽減に向け感震ブレーカーの普及率なども含めた具体的な計画目標を立てることも必要だと考えます。
少しでも災害による被害を減らすため、命を守るため取り組み強化をお願いいたしました。