【提言】寄付金頼みの予算編成-その危うさと、本来の在り方
- 2021.09.09
- ブログ
京都市が2021年度に調達を目指す民間資金は、昨年度では約11億円でしたが、今年度は計46億円と4倍以上になっており、さらにその内の約4億円は企業版ふるさと納税や個人・企業からの寄付金、協賛金を当て込んでいます。
しかしこの4億円分の予算は、いわば「獲らぬ狸の皮算用」。果たして計画通りに目標額を達成できるのか、疑問を感じざるを得ません。まだ手元にない資金を予算編成に組み込むことの不安定さを追求しました。
「まだ手元にない4億円」ありきの予算編成
◆既に今年度の財源に
京都市が2021年度に調達を目指す民間資金・計46億円の内、約4億円は企業版ふるさと納税や個人・企業からの寄付金、協賛金の獲得を目標としています。そしてこの約4億円のうち、2億4000万円は、今年度予算で40以上の事業の財源に組み込まれています。
◆京セラ美術館の運営費も…
例えば、ウェブ上での情報発信拠点となる「バーチャル京都館」は予算2,000万円のうちの1,500万円。京セラ美術館の常設展運営費は2,000万円。他にも、東本願寺前における市民緑地整備事業に2,700万円や消防団や消防対策などの消防関係に5,100万円などが、まだ手元にない資金を当て込んで予算が組まれています。
設定した目標額は達成できるのか?
◆不十分な受入れ態勢と周知
それでも、設定した目標額が達成できる見込みであれば良いでしょう。そう思い獲得状況を各担当局に確認したところ、まだ寄付を募るシステムが構築できていないものや、事業を周知できていないもの、数年前から寄付を募っているが毎年まったく目標額に届いていない事業など、本当に目標額を達成できるのか、かなり不安に感じるものもありました。
◆今まで何度も失敗してきたという事実
実は京都市は、寄付金を確保することに幾度となく失敗してきたという事実があります。例えば現在進行形の事業の中で、芸大移転に関してや二条城の修理事業に関しても、十分な寄付を集めることができていません。
予算編成、本来の在り方
◆寄付金頼みは不安定
事業費というのは原則、市民の方々にその事業の内容や必要性を説明した上で税金から集めるべきものであり、寄付金という財源に頼ることは非常に不安定な財政運営だと言えます。民間資金を活用すること自体は積極的に進めていただきたいことではありますが、特に今年度や今年度以降はコロナの影響もあり、例年以上に寄付を獲得できるか不透明な状況です。
◆目標額が集まらなかったから実施しません!では許されない
寄付金が組み込まれている事業の中には、市民の方々の安心安全を守っていくために重要な予算も入っています。もし目標額に達しなかった場合、これらの事業に対してどういう措置を取るのか。「寄付が集まらなかったので実施しません」、もしくは「寄付が集まらなかったので基金(本来別の用途のために貯めている資金)を取り崩して充当します」では、いずれにせよ非常に無責任な対応になります。
◆本来の寄付金活用の在り方
確定した寄付はともかく、未確定の寄付を事業に組み込むなどということは、本来事業予算の組み方としてはおかしいことです。捕らぬ狸の皮算用とならぬよう、年度内に確保した寄付金は基金に積み立て翌年度予算に活用するなどの対策を講じるよう、強く訴えました。
<令和3年5月21日 代表質問にて提言>
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